田舎ぐらしを1年終えて感じたデメリット

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    あっという間の1年

    2018年10月1日からはじまった岡山県美作市の田舎暮らしですが、いつの間にか1年が過ぎてしまいました。こんな暮らし方をはじめたらきっと誰でも1年を「あっという間に過ぎた」と感じるものだと思います。自分的には都会生活と田舎生活の違いがありすぎて、今まで生きてきた常識だけじゃ追っつかないというのが率直な感想です。それは、不便とか不自由などといった誰もが想像するギャップだけではなく『こんな事が起きるのかよ』と思わず口に出したくなるイレギュラーにです。

    もちろん、この1年間に多くの楽しい出来事や初めて体験できた素晴らしい出会いもありましたが、そんな事は個人の尺度で変わるものだし・・・せっかくなので、私自身が田舎暮らしに降参したくなった体験を「未来の田舎暮らしがしたい人」に向けて発信したいと思います。

    寒すぎる古民家

    この場所に越してきたのが10月です。去年の10月はそれほど寒くもなかったと記憶しています。

    岡山県美作市というのは、位置的に岡山県の北東部に位置する市になるわけですが、実際のところ中国自動車道を境に下側(南側)は、特別雪が多く降る地域ではありません。そのため、1年目の冬もパラパラと降る程度でドカ雪になることはありませんでした。(積もったとしても2、3日でなくなる程度です。)

    なのに、冬に近づくにつれ家の中が寒いんですよ。いや・・・冬は寒くて当たり前なのだけれど。寒さの「質」がかなり違う。

    昔から「田舎のじいちゃん家は古いから寒いんだよ」というのは聞いていたし、幼少時代はそれでも元気いっぱい過ごせていたはずなのに、おじさん体型になったせいか寒さが直にくるんです。

    とにかく、朝晩の冷え込みが耐えられず、これは何か対策しないと死んでまうと毛布に包まりながら消沈していたのを今でも鮮明に覚えています。

    家にエアコンがない

    家を購入する前の内見でこの家にはエアコンが1つも付いていないことは当然理解していましたし、それで良いとも思っていました。夏は避暑地だから扇風機で充分、冬はコタツあるし厚着すりゃ大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・これが無知故の認識の甘さでしたね。

    御津花はじめての雪体験

    はじめての雪に驚くミツハちゃん。

    少し話は脱線しますが、上の写真は引っ越す2週間前に岡山県の御津という場所で拾った猫です。生後1週間くらいで、見つけたときは雨が3日降り続いたために風邪をひいて目が片方開かなくなっていました。すぐに病院に連れていったので無事にキレイな目を見ることができました。名前は、御津で見つけたメス猫ということで「御津花(ミツハ)」に決めました。これから不定期ながら記事に出演してもらいたいと思います。

    さて、引っ越して数ヶ月で本格的な冬がやってきました。我が家は朝9時くらいから陽が当たります。寒い日は-5度くらいだったでしょうか。最初は何の根拠もなく「コタツだけで問題なし!」と思っていたわけですが、それは日中の話であって布団に入る朝晩にコタツは無意味です。布団もボア仕様で、ヒートテック着込んで寝てみるわけです。でもすぐに気づきます・・・「あれ?顔がとんでもなく寒いぞ」と。

    首より下が温かくても、顔が寒けりゃ眠れない。「顔が寒いよ」「そうだ、布団の中に顔まで潜ってみよう」「だめだ、布団の隙間から超冷たい風が入ってくる」「く、苦しい。空気がほしい、顔を出すしかない」「顔、超さみぃーー!!」の繰り返しです。

    結論、部屋を暖かくしなきゃ安眠できないよ。

    ということで、まずファンヒーターを購入しました。

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    そして私は「文明最高!」と叫びながら安眠を手に入れたのでした。

    文明を手に入れると、コストがかかる

    ファンヒーターを手に入れたことで、何も苦しまず眠ることを手に入れたわけですが・・・人間こういう環境に慣れてしまうと、朝晩の寝るときだけじゃなく日中も暖かくしたくなる弱い心を持ち合わせています。そうなると、必然的に朝昼晩と24時間ヒーター様が部屋を暖めてくれるようになります。そりゃ大満足です、幸せです。

    でも徐々に気付き始めます。昨年の灯油は1ℓ98円くらいでした。20ℓ灯油缶が3、4日でなくなります。ですので、最低でも月7回くらいは補充しなくてはいけなくなります。単純計算で1,960円(20ℓ)を7回で約14,000円です。田舎暮らしで暖房に月14,000円って結構あれですよね。冬の4ヶ月程度を見込んでも56,000円くらいかけて越冬するって考えると、いかがなものでしょう。

    古民家で暖をとるというのは効率も悪く、外から流れ込む冷気が邪魔をして、ヒーターからの暖かい風が部屋全体に行き届きません。都心で生活していたときは、当たり前のように付いていたエアコンも、本当に寒い日しか付けていなかったので冬でも電気代は10,000円前後。暖房費だけなら3,000~4,000円といったところでしょう。昨今の暖房器具って設定温度になると節約してくれますよね。けれどこの環境では、全力で設定温度をキープするためにガンガン暖めます。今の環境と、都心の時に過ごしていた冬の室内とでは比べものにならないほど非効率な暖房ということに気づかされます。

    いきなり我慢しても体に悪いし、まだ体が慣れていないので、1年目の冬は、コストより健康を選ぶべきです。頭が田舎暮らしを理解していても、しばらく体が環境に慣れてくれません、絶不調になります。私の実体験としては、朝晩は迷わずヒーターで部屋を暖かくして、日中は農作業などで外で過ごしてヒーターを止めるのがベストアンサーです。

    一番多い訪問者は「虫」

    これは自然の多い場所なら「あるある」だと思いますけど、想像を遥かに超える多種多様の「虫」が出現します。注意しなくちゃいけないのはヘビ・ハチ・ムカデと有名どころは普通にいますが・・・生死問わずに発狂したくなる虫が、四季それぞれ訪問してくれます。住む場所で個体数も種類も違うかと思いますが、私が住む場所で「駆逐してやるぅ~~!!」と発狂しながら駆除した虫たちをいくつか紹介します。

    よくわからない羽虫

    暖かくなってくると無数に出現する羽虫。そのなかでも、夜になって網戸の隙間から侵入してきて食卓の上の電球に群がる羽虫は最悪です。特に、雨が近い日の夜は数百匹以上が窓に付いているので、何割かが侵入してきます。入ってきては明るい電球に群がるんですが、数分すると意識を失うのか意味がわかりませんが落ちてきます。ということは、晩飯中に落下してきておかずにふりかけられます、ふりかけ状態です。

    よく昔の電球は虫がよく集まり、LEDライトにすると半減するとか言いますが、そんなことありません。LEDライトに全部屋していますが、電気をつければ数分でプンプン飛び始めます。虫対策のためなら変える必要ありません。

    対策としてできることは、「明かりの直下に食事を並べない」ことです。ほとんどの羽虫が、電球の真下に落ちてきます。なので、少しずらした位置に机を配置するのがベストです。次に、室内に羽虫が飛んでるのが気になってしょうがない人には「室内用蚊取り線香」がおすすめです。

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    上記の商品を今年毎日使っていましたが、かなり効きます。数分で電球回りの虫はいなくなります。15分で12時間の効き目があるので、午後に1回やっておけば夜もすっきりです。ただし、室内用とはいえ線香なので、煙の匂いが嫌いな人はご注意ください。それと電球にめっちゃ羽虫が出現してから使うと、床に死骸が悲鳴をあげるほど落ちています。陽が暮れる前の15時くらいからやっておくのが最適です。これで小さな羽虫に悩まされることはありません。

    今、一番嫌いなのはムカデ

    田舎暮らしをするにあたって、地元の方に言われます「ムカデに噛まれんようにな」と。だから私はいつも注意しながら過ごしていました。服は着る前にバサバサと、寝る前に布団をバサバサと、座る前に座布団をバサバサと。それなのに、それなのに・・・ビール飲んで気持ちよく寝てた朝4時過ぎにカプッ!と足を噛まれ「ぎゃああああああ!!」と飛び上がりました。

    不幸中の幸いなのか3cm程度の子供だったようで大事に至りませんでしたが、初体験の痛み。言葉で伝えるのは難しいですが、知ってる痛みが終わると徐々に知らない痛みがやってきます。これがムカデの毒かと思った時には、足がプックリ腫れてきます。毒が少なかったのか、ムヒ塗って寝たら腫れもひきました。

    見た目のグロテスクさも嫌ですが、ネットで事前に調べてたわけですよ「ムカデ 室内 対策」と。それでよく書いてあるのが【ムカデは対で行動することが多い】という恐ろしい解説です。つまり、一匹見つけたら近くにもう一匹いるからな!ということです。

    梅雨時期から夏にかけて、我が家でもムカデが出ました。1匹見つけると、もう1匹見つけるまで寝れません。天井からボトッて落ちてくることもありました。ノートパソコンのモニターを開いたら2匹遊んでることもありました。とにかく、神出鬼没です。

    ご近所のおじい様に相談したところ、昔の人は「茶」と書いた紙を柱に逆さにして貼るとムカデが寄ってこないと言われました。蜘蛛に見えるとか、そんな意味合いらしいです。ムカデは視覚が弱く触覚が発達してるので「茶」を認識してるとは思いませんが・・・今のところ、解決策に至っていませんので、これからも実験していきたいと思います。

    そうそう、猫のミツハを家で留守番させてた日があったんですけど、帰ってきたら7㎝くらいの大型ムカデが和室で息絶えてました。その他にも、夜中いきなり壁に向かってジャンプしてたので電気をつけたらムカデがいました。もしかしたら、早期発見・早期駆除には猫が一番かもしれません。

    ミツハ「任せろにゃ!」

    臭っさいカメムシ

    この地域は「作州黒豆」で有名な地域、そしてお隣の県には「丹波黒豆」があり、お豆がたくさん植わっています。カメムシは大豆などが好物なので、寒くなってくる10月中旬以降に暖かい場所を求めて民家に増えてきます。そう、我が家もカメムシが大量に発生します。こいつらは、思っている以上に平べったいので網戸のレールの隙間から普通に侵入します。網戸が無意味状態です。

    何がイヤって、もちろん臭いですね。刺激を与えると出す、あの屁です。飛んでれば結構うるさい羽音なので、1年もすればカメムシが飛んでるのが見なくても音でわかります。そんな見極める技術いらなかったんですが、虫を認識する技術はとても重要です。ハチであれアブであれ、見えない位置でいち早く認識することは、自身を守るためには必要なことです。そういう意味では、カメムシの羽音は分かりやすいのであまりビクビクしなくなります。

    問題は、退治の方法です。あの臭いを出さずに処理するために私も必死に調べました。そして書いてあったのです「カメムシは蚊取り線香に弱い」と。さっそく試しました。一番出没する窓の外側に、あのぐるぐる巻きの蚊取り線香をスタンバイさせたのです。そして15分、なんということでしょう!蚊取り線香にカメムシが止まってるじゃありませんか。「なんやねん、まったく効かないやんけ!!(エセ関西弁)

    勢いよく言いましたが、ちゃんと覚えておきましょう。カメムシに蚊取り線香は効きませんよ。もしかして遅効性で、明日には死んでるのかも!?とかポジティブに考えてみたこともありましたが、普通に次の日も蚊取り線香の容器に2匹止まってましたから。「逆に好きやん!」とか心で叫びましたから。

    これもご近所のおじい様に相談したんですが「上手に付き合うしかないじゃろ」って遠い目されました。長年ここに住んでる人がいうんだから対策はないんでしょうね。虫全般に言えることですが、煙が嫌いなので木酢液は多少の効果があるのかもしれません。実際のところ気持ち減ったかな?くらいですが、数が多すぎると効果がよく分かりませんでした。ハチには結構効きますよ。まじで煙臭くなるので、隣の家が近い人には向いていません。雨が降ったり、数日で効果がなくなるので定期的に使わないといけないのが残念です。

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    夏は草刈りが日課

    自然が多いところに住んでる人は当たり前の光景、そして名言「年寄りは草刈りに命をかけてるんじゃないかっていうくらい草刈りをする」です。実際に、梅雨時期から夏が終わるまで、雑草との勝負になります。早ければ草刈りしても1、2週間でボーボーになります。草刈りをする理由は主に2つだと思っています。

    • 景観を守るため
    • 虫を増やさないため

    まず、1つ目の「景観を守るため」です。
    年々、耕作放棄地も増えてきています。そうすると以前は農作していたであろう場所が生い茂ってしまいます。人が立ち入れないイメージが出来てしまいます。なので、草を刈るのです。他人事で見ていた時はよくやるな~と思っていましたが、一度草刈りをしてすっきりした場所が草ボーボーになると、段々そこに足を運びづらくなります。それほどに、草が生い茂ることは人が足を運ばなくなる大きな要因になることを実感しました。

    そして2つ目の理由「虫を増やさないため」です。
    分かりやすい例だとマダニでしょうか。人にもペットにも命にかかわる虫が増えるのは避けたいですね。草むらが多くなるほど、そういった被害が増えることから草刈りが大切ということが見えてきます。

    さらに、虫だけに留まらずヘビ対策にもなります。この地域では私が知ってる「マムシ」を「ハミ」と言いますが、草刈りをする際は毎回「ハミに気をつけんちゃい」って言われます。そもそもヘビは草むらの柔らかい土の穴や木の根元などに巣をつくります。少しでも安全を確保するためには、雑草をなくして日当たりを良くすることが大切ということです。それ以外にも野菜や稲を守るといった理由もあるでしょう。様々な側面から、草刈りというものは田舎暮らしをするにあたって必要不可欠なものです。これを怠るという事は、田舎暮らしの豊かさを自ら狭める結果になります。メンテナンスされた都心の歩道と比べてしまうと面倒くさい作業なのですが・・・草刈りで向き合う時間は有意義です。はじめはボーボーだった草むらを刈りはじめ、ふと後ろを振り返るととてもすっきりしています。経験しないと分かりませんが、ひと汗かいた達成感と気持ちの良いリフレッシュ感を与えてくれます。あ、これはつまり「草刈りダイエット」ですね。

    やらなきゃいけない、けれど後回し

    先ほども言ったように、梅雨明けから夏場(7~10月)は雑草も超元気です。草刈りしてもしてもしても生えてきます。少し伸びてきたら「あぁ~また草刈りしないとな」と思うんですが、なかなか草刈り機に手が伸びません。だって、今までそんな生き方してないですから。都会で生きていれば、自宅に広い庭がなきゃ気にすることもありません。それを「田舎暮らしを始めたんだから草刈りはしないといけない」と決心しても、なかなか体が反応してくれません。

    少し伸びてきたのを見て「あと1週間くらいしたら草刈りかな」とか思ってたら・・・近所の方に「ここもっと草刈りせんと」って言われたこともありました。これでもう目に付くんかい!と驚きもしましたが、雑草がよく伸びる時期は毎日朝からブイイイーーーンって草刈りしてる音が聞こえるほどみんなやってるんですよね。今でもさすがに同じ感覚で草刈りはできませんが、雑草を見て「ここは明日草刈りをしよう」って思うようになっただけでも成長してると思いませんか?『秋になれば草枯れるし、伸びなくなるから一気にやっちゃいたい派』なのです。わかっちゃいるけど「明日でいいや」って思う自分のルーズさは1年じゃ治りませんでしたね。

    草刈りに必要なのは、もちろん草刈り機。これは田舎暮らしには必須アイテムじゃないでしょうか。私が今使ってるのは「マキタ(Makita) エンジン刈払機 4ストロークエンジンタイプ」です。超馬力、大概のものはスムーズに切り落としてくれるので使いやすいです。ただ、女性には重たくて30分使いきれません、男性向けです。

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    それだけでは足りません、ホームセンターに行けば様々なチップソー(刃)が売ってるんですが・・・安いものはすぐに欠けます。うちは小石が多いという理由もあるんですが、ある程度頑丈な刃の方が長持ちしますので「石も竹も任せとけ!」と謳っている刃が最適ですよ。

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    やらなきゃいけない、けれど後回し

    まとめ

    細かいことを言い出したらキリがないですが、主に「寒さ・虫・草」が1年間で感じたデメリットワードでした。私の場合特に金銭面で余裕がないため、できる限り今あるものでコツコツとやって行かざるを得ないため、お金に余裕さえあればいろんな対策が打てると感じています。特に、寒さ対策についてはお金がかかりそうです(遠い目)。

    田舎暮らしはスローライフ!心穏やか!ノンストレス!みたいなイメージがあるかもしれませんが、都会から田舎に生活を変えることは容易ではありません。それでも、自分の意志ではじめた生活だからこそ変化に耐えれる強い意志が必要で、弱音を吐いて逃げ出すことよりも「改善する楽しさのほうが大きい」のも改めて感じました。

    「ゆっくりやりなさい」と優しい言葉をかけてくれる両親や友人たちが言うように、田舎暮らしは一気に進めるものではありません。体と相談しながら一つずつ進めないと、道中のちょっとしたイレギュラーに対応できなくなります。

    私が一年を通して感じたことは、デメリットは楽しい目標であり、メリットはご褒美です。
    今はまだ田舎暮らしを始める・移住する人のイメージは50代オーバーですが、私は『30代からはじめる田舎暮らし』に期待をもっています。今後も、微力ながらですが平々凡々生きてきた私目線で田舎暮らしの魅力を発信していければと思います。